染織技術の中でも希少な存在となった「桶絞り染め」、歴史を紐解けば古くは室町時代 後期から続く技法です。染めたい部分だけを桶の外に出し、大胆で豪奢な絵柄を創り出す技法で数多ある染織技法の中でも非常に希有な存在とも言える仕事に従事しております。
十日町産地は江戸から明治大正昭和と絹織物、特に先染め産地として名声を轟かせました。昭和から平成にかけては友禅染めを導入、京友禅、加賀友禅と肩を並べる一大後染め産地へと大きく変貌を遂げ、産地メーカーがそれぞれに特色を活かしたきもの作りを目指してきた経緯があります。そんな先人の偉業を受け継ぐ事、担い手としての役目に生き甲斐を感じ日々の仕事に没頭しております。
地元が好きで、ここ(十日町)の産業といえば「着物」だったと言う事と、青柳という会社が、入社後5年間は全ての製作工程の技術や技法を勉強させる会社でした。学んでいくうちに、自分は職人として仕事を極めたいと思うようになり、今に至ります。
自分の染め上げた商品を身にまとい、産地見学に訪れていただいたときに喜びを感じ、桶染めの工程を間近に目にされ、歓喜の声を上げて感心いただいた時に、この仕事に携わり良かったと思えた事が一番のうれしいことでした。